建替えやリフォームの違い

何十年と住んでいると、どんなに注意を払っていても家は傷んできます。台風で大きく家が揺さぶられたり、地震で負荷がかかったりすると、家の痛みは加速します。家の痛みが激しくなったとき、建て替えやリフォームが検討対象になります。

「建て替え」とは、今建っている家を全て解体して、新たに建物を作り直す作業です。構造体を残したまま作り直すのは建て替えではなく、「スケルトンリフォーム」です。建て替えは、どうしても費用が高額になってしまいます。そのため、最後の選択肢となりますが、建物を解体する際に、地盤や基礎の状態を確認できます。地震で大きな負荷がかかった場合など、建て替えに大きなメリットがあります。

「リフォーム」は解体をしません。全面的にリフォームする場合も、柱や梁といった構造体はそのままにしています。柱や梁などの構造体だけをそのままにして、それ以外は全て作り直す作業を「スケルトンリフォーム」と言います。全面的にリフォームしても、内装仕上げや設備を作り直した場合が「リノベーション」です。

全面リフォームの一番のメリットは、建て替えに比べて費用が少なくて済み、工事期間も短くて良いことです。解体作業が無いためです。ただし、基礎を残すために、今あるものを壊す作業は全て手作業で行う必要があります。作業員の人件費がかさみます。 

全面リフォームのデメリットは、今建っている建築物の構造を残すため、間取りに制約を受けるということです。間取りを大きく変更したくて壁や柱・階段などを解体したいと思っても、解体によって建物の強度が落ちる可能性がある場合は、壁や柱・階段などをそのまま残しておかなければなりません。リノベーションの場合は、こうしたデメリットを考えることはありませんが、スケルトンリフォームの場合は、このデメリットが問題になることが少なくありません。

また、現行の耐震基準で建てられていない家の場合や、シロアリ被害を受けて全面リフォームをしようとする場合は、これらの補修や改修のための工事を追加する必要があります。建て替えと同じくらいの大規模な工事になる可能性があり、費用も工事期間も大掛かりなものになります。